月別アーカイブ: 2022年5月

【2022年5月3日憲法記念日によせて】


2022年5月3日、「NO WAR  ウクライナに平和を 世界を平和に 憲法記念日街頭行動」が予定されていましたが、残念ながら雨天中止になりました。当会のKさんが予定していたスピーチ原稿をご紹介いたします。

ーーー
 5月3日は75回目の憲法記念日です。今年の記念日はロシアによるウクライナ侵略によって国際社会の平和が脅かされ、戦争か平和かが問われる中で迎えました。

 今日、全国各地で「改憲発議を許さない!守ろう平和といのちとくらし」を掲げて憲法集会や街頭宣伝行動を行っています。皆さんもぜひ私たちのスタンディングに参加して下さい。

 5年前の今日、安倍元首相は憲法9条改憲の提案をし、改憲発議に強い執念を示しました。

 これまで私たちは九条の改憲に反対するという一点で市民個人が集まる九条の会という形で運動を広げ、世論を変えることで自民党と改憲勢力の動きに歯止めをかけてきました。しかし、今憲法をめぐる情勢はかつてなく緊迫しています。

 国連は、加盟国の7割を超す140カ国の圧倒的多数の賛成で、ロシア軍の無差別攻撃を非難し即時停止を求める人道決議を採択しました。国際社会におけるロシアの孤立は日増しに高まっています。ところがロシア軍はウクライナ侵略を2ヵ月以上続け、プーチン大統領は核兵器の使用を公言し、威嚇しています。「ロシアは直ちに戦争を止めよ」「国連憲章を守れ」の一点で市民が声を一つにするときではないでしょうか。侵略を止めるためには、プーチン政権を包囲する国際世論を広げることが重要です。

市民の皆さん、ロシア・プーチン政権は、直ちにウクライナ侵略を止め、核兵器の使用は絶対するなという声をともにあげようではありませんか。

 ウクライナ侵略に乗じて、『戦争する国』づくりをたくらむ日本国内の動きが強まっています。岸田首相は、3月の自民党大会で自衛隊を憲法9条に明記する改憲は「今こそ取り組まなければならない課題だ」と言いました。つまり安倍元首相と同じで、自衛隊が海外で武力行使できるようにすること、つまり日本を「戦争する国」にすることを狙っているのです。

 それを後押しするかのように、自民党の安全保障調査会は4月21日、政府に安全保障戦略の指針となる提言案をまとめ岸田首相に提出。その内容は、政府がこれまで「違憲」としてきた「敵基地攻撃能力」について、その名称を「反撃能力」とした上で、攻撃対象については「ミサイル基地に限定されるものではなく、相手国の指揮統制機能等も含む」としました。さらに、米軍とともに相手国の指導部まで攻撃するというのは、もはや専守防衛ではなく、全面戦争に発展しかねない極めて危険な内容となっています。これはまさに憲法違反です。

また、軍事費は5年以内に対GDP比2%以上に倍増し、11兆円以上にするとしています。軍拡競争を加速させるだけで、これでは国民のいのちとくらしを守ることはできません。

 日本国憲法が生まれた背景には、太平洋戦争で日本国民310万人が命を奪われ、日本軍が朝鮮、中国全土をはじめアジア諸国への侵略を繰り返し、アジア諸国民2000万人以上の命を奪うということがありました。また、沖縄戦や東京大空襲や各地の空襲で軍人だけでなく、民間人も多数が犠牲となりました。そして、広島、長崎に原子爆弾が落とされ、何十万の人が一瞬にして命を奪われました。私たちは、戦争による被害の歴史と加害の歴史があったことをけっして忘れてはいけないと思います。だから憲法前文には「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることがないように」という文言があるのです。戦争は市民が始めるのでしょうか。そうではなく時の政府です。戦後の日本国民が絶対に戦争をやってはいけないという9条の精神に共鳴して、憲法を守り抜いて闘ってきたことを忘れてはいけないと思います。

 憲法12条には「国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と書かれています。9条を守り生かす世論と運動は、日本が直接戦闘行為、つまり戦争に参加することを許さなかったのです。だから自衛隊は一人の戦死者も出してこなかったのではないでしょうか。

 私はあさひかわ西地域九条の会で、戦争体験者からお話を聞き取り『平和への伝言』という冊子づくりに協力しています。これまで13冊発行し、ことしの夏に第14集を発行する予定です。自分の戦争体験を語ることは大変辛いものがあります。家族に黙っていたこと、言いたくなかったことに重い口を開くのです。ほとんどの体験者が共通して語っていることがあります。「戦争は人殺しだ。絶対やってはいけない」「憲法9条を守らなければならない」と。自分の家族、こどもや孫のことを思っているのでしょう。そして、「どの国の人とも仲良くしなければならない」と。過去の歴史を正しく学ぶことによって、私たちの未来は開かれると思います。

 憲法9条の核心は、武力ではなく話合いで周辺国との紛争を解決する努力を、政府と私たちに課しているところにあります。また9条は他国と仲良くするために、平和的な外交を積み重ねる努力を求めています。周辺国との友好関係が真の意味で国民の安全を守るのではないでしょうか。力に頼る軍事力増強や憲法改正の議論は、それとはまったく逆の方向です。

 市民の皆さん、ご通行中の皆さん

・憲法記念日の今日、これまで憲法の果たしてきた役割に確信をもって、自公政権、維新の会 などの改憲発議ノーの声を共にあげましょう。

・ロシア軍によるウクライナ侵略に抗議し、戦争反対の声を共にあげましょう。

・憲法9条を生かした外交の力で国際平和を築くために共に立ち上がりましょう。